心をつなぐ

ある檀家さん(Xさんとします)にお参りに行った際、Xさんは息子さん(Aさんとします)が亡くなった時のお話をされました。Xさんには3人息子さんがいらっしゃいましたが、次男であるAさんは40代で癌を発症し亡くなってしまったそうです。

Aさんは結婚もして大学生になるお子さんもいましたが、病気の治療でお金を使ってしまい、亡くなったときには葬儀を行うこともできないほど困窮していたそうです。そのため、Aさんの葬儀もできないしこかに納骨することもできないされたAさんの奥さんからXさんに相談があったようです。そこで、Xさんと長男・三男で相談した結果、飛行機を使って長男と三男で北海道から東京までお骨を引き取りに行くことになりました

2人でAさんの遺骨を引き取りに行く際、新千歳空港で落ち合って東京に向かう予定だったそうですが、長男が三男に対して新千歳空港まで車ではなく電車で来るように指示を出したそうです。なぜ長男はそのような指示を出したのでしょう?

それは、お骨を引き取って新千歳空港に到着して実家まで移動する際Aさんのお骨を車の後ろに荷物として積まずに三男に抱えさせ長男の車で戻るため、そのような指示を出したのでした

近年、一部の埋葬施設では永代供養、合祀をする際全国から宅急便でお骨を配送できるサービスを始めているところがあり、そのようなところに『荷物』がたくさん送られてきているという話題を耳にします。そのように送っている人すべてが亡くなった人への敬意を失った方々ではないかもしれません。しかし、宅急便で送らねばならないほど合祀をしてくれる寺院が近くに全くないのでしょうか?それとも合祀をしようとして近くの寺院でできない理由があったのでしょうか?

お骨を預ける遺族もお骨を受け入れる我々宗教者側も亡くなった方への敬意を忘れず、故人を死出の旅路へ送り出したいものです。

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