手を合わせる

我々僧侶は、お勤めをする時、お経を唱えるだけではなく手を使い印と言うものを結びます。
印と言うものは師僧から教わらなくては結ぶ事はできません、ですので普段一般の方の目に触れることはありません。そんな中でも、皆様でも結ぶことの出来る印があります。それは合掌です。私たち僧侶が修行の際一番始めに学ぶのもまた合掌です。
仏教では右手は仏様、左手は我々衆生とされており、この二つを合わせることで仏心が生まれるとされています。

皆様は普段右手と左手を合わせて合掌することはあるでしょうか?
近年、お仏壇の前で手を合わせるということは減ってきているんじゃないでしょうか。
しかし、そんな中でも、もっと日常的に皆さんも右手と左手を合わせる機会というのがあります。
それは手を繋ぐという行為です。
自分の子供、孫、もしくは友人、恋人。さまざまな場面があると思いますが、この手を繋ぐという行為が表しているものは、すべて共通しています。それは愛情です。
私はこの合掌、右手と左手を合わせるという行為が表すもの、つまりこの印が表す意味というのは愛情だと考えます。

お仏壇の前で手を合わせ亡くなられた方に祈りを捧げるのも、自分の家族、自分自身の幸せを願うのも、根底には愛情が存在します。
一見すると合掌することと手を繋ぐことはまったく別もののように感じられますが、見方を少し変えるだけで、大きく関係していることがわかるのではないかと思います。

亡くなってしまった、自分の家族、ご先祖様とは手を繋ぐことは出来ません。だからこそ、お仏壇、お墓の前で合掌し、自分は今、亡くなられた方たちと手を繋いでいるんだということを感じながらお勤めしてみてはいかかでしょうか。

また手を繋ぐことが出来る方たちとは少しでも多く手を取り合ってみてください。大切な方たちが生きているうちにしか出来ないことです。
文章 F寺 M師

Comments are closed.