旅の途中

あるところに旅人の男がいます。男は宝物を探す長い長い旅の途中です。
男が旅をしていると、助けを求めてる人と出会います。男は宝を探す旅の途中、見て見ぬふりをしようかとも思いましたが助けてあげることにしました。
男がこの人を助けてあげると助けを求めていた人は大変喜びました。お礼にプレゼントをくれました。プレゼントをもらい、男はまた宝を探す旅を続けます。
しばらくするとまた、助けを求める人と出会います。この方は先ほど男が貰ったプレゼントを男以上に必要としているようです。旅人は悩みました。
しかし、自分以上に必要としている人がいるならと男はこの人にプレゼントをあげることにしました。助けを求めていた人は大変喜びました。そして、また別なプレゼントを男に渡しました。
旅人は宝を探す旅の途中で、同じことを何度も何度も繰り返しながら旅を続けました。
男はやっとの思いで目的の場所に到着しましたが、そこに宝はありませんでした。がっかりした男はその場所で自分の旅を振り返ります。
男の脳裏に過ったのは今まで自分が助けてきた人たちの喜びの顔でした。その表情を思い出したとき男の心はとても暖かくなりました。
旅人はこの旅で探していた宝物をすでに手に入れていたことに気が付いたのです。

このお話は映画や歌などにもなっているお話です。
弘法大師のお言葉に「それ仏法遥かに非ず、心中にして即ち近し」と言うお言葉があります。
仏の教えとはどこか遠くにあるのではなく、自分の心の中にこそあるのものだと言う意味のお言葉です。
私たちが本当に求めるものも、どこか遠くに手を伸ばして求めるのではなく、実は自分の一番近いところ、自分の心の中にこそあるのではないでしょうか。

私たちは今まさに長い旅の途中です

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