衣替え

お彼岸が過ぎ、北海道は実り・収穫の秋が来ると同時に赤く染め上げていた紅葉が冷風により地面に落ち、朝夕は急に冷え込み、すっかり冬も間近となりました。

先の8月・9月に北海道を襲った例年にはない台風で、人や作物・野菜等にも甚大な影響を与え、また、被害に遭われた方・生産者の方々には心より御見舞い申し上げます。

さて、10月に入ると衣替えの季節となります。皆様は衣替え済まされましたか?私事ですが、道北地方の山間部に住んでいる為、道内の他地域よりも冷え込みが早く厳しい為、済ませたばかりでございます。

高野山では年に1回、弘法大師空海の御衣替えの法要が旧暦の3月21日、正御影供に執り行われます。

空海は御廟に御入定される前に「虚空尽き、衆生尽き、涅槃尽きなば、我が願いも尽きなん」と誓願を立てられ、この宇宙の生きとし生けるもの全ての衆生が仏となり、涅槃を求めるものがいなくなった時に、私の願いは成就すると言い残され、それから約80年後、空海に弘法大師の諡名(おくりな)を観賢というお坊さんが弟子の淳祐を伴って弘法大師号を送られた報告に高野山奥の院に行き、開かずの御廟を開けて中へ入りました。すると御大師様が生前そのままの姿で座っておられ、ボロボロの衣に髪・ヒゲは伸び放題、見かねた観賢僧正は御大師様の衣を替え、髪・ヒゲを剃ったと言われます。

御大師様は人々の幸福や救済を一番に案じて自分の身なりは気にせず、やさしく救いの手を差し伸べて下さる。私達と共に生き続けておられるのです。

文章 F院 H師

Comments are closed.