『正しく見る』

十月の半ばが過ぎ、新型コロナウィルス感染拡大はワクチン接種や行動規制などにより徐々に減少し、緊急事態宣言もひとまず解除となりました。

これに伴い、外に出て気分転換をされる方、遠出をする方達が増え始めてきました。

当山においても、お盆にお墓参りをすることが出来なかったことから、先日、遠方よりご年配のご夫婦が読経を頂きたいと尋ねて参りました。

このご夫婦の旦那さんは数年前に脳梗塞を患い、その後遺症により左足が動かなくなってしまい、お墓には奥さんに支えられながら一歩、一歩、ゆっくりと歩いて来られました。やがて読経が終わり、お墓から帰っていくご夫婦の後ろ姿を見た時、私の目には支え合う姿が何か美しく感じました。

しかし、傍に居た家内の目には、最後まで苦労している姿に見えてしまい、何だか悲しく感じたそうです。

同じ光景でも見方によって受ける印象とは違うものだと改めて感じました。

十善戒の一つに「不邪見」という、誤った見解をしない、ありのままを正しく見るという戒律がございますが、私たちは正しい見解をしているつもりでも、実は、これまで得てきた知識や経験などにより、知らず知らずのうちに色眼鏡をかけてしまい、つい自分本位での見解をしてしまっている事が多い気が致します。

そのため、私と家内のご夫婦に対する見え方も異なってしまったのではないかと思います。

相手の立場に立ち、しっかりと寄り添い、相手を思う心こそが正しく見る事に繋がるものではないのかと考えさせられました。

新型コロナウィルスの影響により、生活、外出、飲食などについて様々な見解、意見が飛び交っておりますが、外出するにも、食事をするにも大事なことは、相手を想い「感染しない、感染させない」という意識をしっかりと持った行動をとる事が、感染拡大防止になるのではないのだろうか。

大切な人を守るために皆で乗り越えて行きましょう。

                        合掌

                  6班  中野 誓心

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