心を込める

先日、初めて御霊供膳を作る機会がありました。

御霊供膳とは、5つのお椀、飯椀(ご飯)、汁椀(お味噌汁やお吸い物)、平椀(煮物)、壺椀(和え物)、高坏(お漬物)を乗せ、仏様やご先祖様にお供えする精進の御膳の事です。

私のお寺では、法要や行事の際はお手伝いで来ていただいた檀家さんに御霊供膳を作っていただいておりましたが、新型コロナウィルス感染予防のため、今回は私と檀家さんのAさんの二人で準備する事になりました。

前日から材料の確認や初めてだからといってAさんに迷惑がかからないように調理の仕方や盛り方なども確認し、せっかく作るなら見栄えのよい御膳になるようにと思っていました。

当日、Aさんに教えて頂きながら調理をしていき、かぼちゃを煮る際に少し焦がしてしまいましたがなんとか御膳が出来上がり、お供えをしました。片付けの際にAさんに「焦がしてしまい、見栄えが悪くなってしまいました」と言うとAさんは「お寺さんが心を込めて作ったんだからきっと喜んでいただけるよ」と言葉をかけてくれ、Aさんはお姑さんに教わりながら作った話や、失敗した話、御主人の好きだった食べ物の話など、ご先祖様やご主人さんの事を思い出しながら御霊供膳を作った話を聞かせてくれました。

その話はとても温かく、ご先祖様やご主人に対して心を込めて思いやりの詰まったお供え物をされているんだなと感じました。話を聞いて、私が今回作った御膳は目に映る所や見栄だけに頭がいっぱいで作ってしまった御膳なのだと思います。誰にお供えするから考えず、まったく心がはいっていない物でした。Aさんと今回一緒に御霊供膳を作らせて頂いて、御膳だけではなく日頃から大切な方々を思い、心を込める事の大切さを改めて学ばせていただきました。

皆様も大切な人を思い心を込めるという事を忘れずに持ち続けてほしいなと思います。

南無大師遍照金剛

       

                             七班 谷澤 隆仁

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