心の波

私事ですが、私は週に一回、習字を習いに行っています。

最近、私の書いた作品に対し先生は次のような言葉をかけられます。

「さて、どこが悪いと思う?

自分で自分の悪いところを発見できねば自分で改善することはできません。そのために先生はほぼ毎回、私にこの質問をしているように思います。

しかし、情けないですが、必死に考えても結局見つけることが出来ず、お願いして悪い点を教えてもらい、改善方法も指導していただいていることがほとんどです。

 私は毎回、その回で先生の評価が一番良かった作品を、携帯電話で写真に撮るようにしていますが、ある日、写真の中で先生に悪いといわれた点がよくわかる作品があることに気付きました。

実際にその作品を仕上げた時には、悪いところを見つけられず、それどころか先生に教えていただいだいても全くピンとこなかった作品でした。

 それが写真で見てみたとき、なぜこんな簡単な所が見つけられなかったのかと不思議に思うくらいでした。

 

高野山の今年のカレンダーをみると小籔実英僧正様のこんな文章がのっていました。

池に波が立つと景色がぼやけて見える

心に波が立つと正しい判断ができない

私は字を書いているときに、上手に書いてやろうと力んだり、どうしたらここはうまく書けるだろうと迷ったり、不安に思ったりしています。それが私の心を波立たせ、普通の状態なら簡単に気付けるような間違いすらわからないほど、目を曇らせていたのでしょう。

写真を見たときは、習字から離れた時間だったことで心の波がおさまり、悪い点に気付けたのだと思います。心の波を静めることが大切だと実感させられる出来事でした。

 最近は24時間いつも町中に明々と電気が光り、日曜、祝日も関係なく多くの人々働いたり本当にいそがしい世の中だと思います。こんなに忙しいと、心に波がたちやすく誤った判断をしがちな状態ではないでしょうか

 心に波がたった状態を治すには、私の習字と同じく、一度その場から離れ、遠くから自分を見る時間が必要だと思います。

 もうすぐお彼岸です。お彼岸とは中日(春分の日、秋分の日)を含む前後三日間のことですが、この期間は先祖供養はもちろん、普段の生活の中で正しい行いをするための修行をする期間でもあります。

 このお彼岸に少し日常から離れ、ご先祖様の努力により今の生活があることに感謝しながら、自らの行いを見つめなおし、心の波を静める修行をするためにお寺やお墓にお参りしてはいかがでしょうか。

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